外壁塗装にはさまざまな塗料が使われ、その中にアクリル塗料があります。このアクリル塗料を外壁塗装に使った時には、どのような効果が期待できるのでしょうか?また、メリットやデメリットはどのようなものなのでしょうか?こちらの記事では外壁塗装に使用されるアクリル塗料について解説します。
アクリル塗料ってどんなもの?
外装塗装をする中でとにかく値段を安く抑えたいという人に適しているのが、アクリル塗料です。ただ、値段が安いことと比例して、数ある塗料の中でも最もグレードが低いことを忘れてはいけません。また、耐久性も他の塗料と比べると優秀とは言えません。
30年以上前はアクリル塗装が主流だった時代もありますが、近年ではあまり使われていないのが実情です。それでもアクリル塗装にはメリットもありますので、選択肢の1つに入れても良いでしょう。また、アクリル塗料も研究されて耐久性に優れた質の良いものも出ているのも無視できません。その点も踏まえて判断しましょう。
新世代のアクリル塗料は古いものの弱点をカバーしています
30年ほど前に主流だったアクリル塗料から、現在使用されているものはどのような違いがあるのでしょうか?新世代のアクリル塗料として代表的なものをご紹介します。
不純物が除去されたピュアアクリル
アクリル塗料の耐久性が悪いのは、不純物が混ざっていることが理由の1つです。ピュアアクリルは不純物が取り除かれているため、耐久性がアップしています。
また、不純物の除去以外に有機ガラスが使用されていることも耐久性をアップさせている理由の1つです。一説には15年以上の耐久性があると言われており、フッ素塗料と同レベルとも言われています。
劣化原因の対策をしたラジカル塗料
皆さんは、パーフェクトトップというラジカル塗料をご存知でしょうか。これも厳密にはアクリル塗料の1つで、ラジカルという物質を制御する力に注目して開発された塗料です。
ラジカルは酸素や紫外線などの劣化を発生させる原因の1つと考えられています。ラジカル塗料には、ラジカルの発生を抑える成分が含まれており、塗膜の劣化を遅くする働きがあります。
例えばラジカルを外に出さず樹脂の分解を抑える高耐候酸化チタン、ラジカルが発生しても働きを抑える光安定剤などが用いられています。このような技術で質を高めているのです。
アクリル塗料に適した場面とは?
アクリル塗料は主流とは言えなくなっていますが、それでも状況によっては使われることもあります。ではどのような部分で使用されることが多いのでしょうか?
透過性が高い性質から湿気対策が必要な場所で使用される
軒先などでは水蒸気などを透過する働きも求められます。そのような理由からアクリル塗料を採用する外壁塗装業者もあるようです。
シリコンやフッ素系の塗料と比較をしても透湿性が高いことが理由の1つとなっています。また、その透湿性の高さによって、湿気が溜まることが想定される場所にもアクリル塗装が使われることは多いのです。
新築で使用されることも多い
アクリル塗料はコストパフォーマンスの面で優れていると評価されています。そのため新築の建売住宅などで使用されることも多いようです。また、新築のアパートでも使用されることもあります。このような物件の中には、安く建てる、そして売ることが目的として考えられているものも多いからです。
新築の建物は新築という言葉が非常に力を持っています。外壁塗装で使用される塗料のことまで把握し、物件を探している人は、建物のプロや専門家ぐらいでしょう。そのためコストを抑えることを考え、アクリル塗料が採用されることも多いのです。
建て替えるまでの間に合わせとして
解体や新築に建て直す、出ていくことが決まっている場合、とりあえずアクリル塗料で外壁塗装をしておこうと判断される場合もあります。5年後にはリフォームか、解体をして新築にするという計画があるならその期間だけ維持できれば良いからです。
経済面で余裕があるなら良いのですが、コストは削減したいと考える人は多いでしょう。耐久性も5年程度は期待できて安いアクリル塗装は都合が良いのです。
アクリル塗料のメリット
どのような塗料でもメリットとデメリットをきちんと把握しておかなければなりません。そのメリットやデメリットを理解することで、適切な判断をしやすくなるからです。まずは外壁塗装でアクリル塗料を使用するメリットを解説します。
塗料の中でも一番価格が安い
アクリル塗料は価格が安いため気軽に外壁塗装を行えます。例えば一般的に価格が高い塗料に無機塗料があります。耐久性が高いのは魅力ですが、価格の相場は3000~5000円/1㎡で高めです。
他に良く採用されるシリコン塗料では、2000~3500円/1㎡。その点、アクリル塗料は1000~2000円/1㎡という値段が相場なので、1回の値段は他の塗料よりも安いことがメリットです。
ツヤがあり塗料の種類も豊富で選択肢が多い
発色という部分はアクリル塗料の得意分野です。はっきりとした色にしたいという人に向いています。また開発されてから長い時間が経過し、カラーバリエーションが豊富なので選択肢の幅が広がるのもメリットです。定期的に家の色を変えたいという人にも良いでしょう。自分の家に最も適したものを選ぶことができるのは魅力と言えます。
アクリル塗料のデメリット
メリットがあればデメリットもあることを忘れてはいけません。メリットを見て良いと考えても、デメリットを無視すると望んでいない結果になることもあります。それでは、アクリル塗料のデメリットには、どんなものが考えられるのでしょうか?
他の塗料と比べて耐久性が低い
アクリル塗料のメリットの1つに、コストパフォーマンスの高さが挙げられます。しかしこれで耐久性も高いならかなり優秀と言えますが、残念ながらアクリル塗料の耐久性は短いです。そのため、長期的な視点で外壁塗装を考えている人は業者ときちんと相談して決めることが大切です。
一般的に、アクリル塗料の寿命は5~7年となっています。1回の値段は安いのですが、定期的に外壁塗装が必要になるため、結果として高額になる可能性も考えておきましょう。
塗り替え時に手間がかかる
アクリル塗料の塗り替えは面倒という話もあります。劣化しやすいため、はがれやすいのですが、劣化した部分を丁寧に除去しなければ、新しい塗膜が古い塗膜の影響を受けてうまく塗れないこともあります。きちんと対処をしてくれる外壁塗装業者に依頼をしましょう。
塗膜が固いのでヒビが入りやすい
アクリル塗料の塗膜は固いという特徴があります。そのためヒビが入りやすいことがデメリットとして挙げられます。ヒビが入りやすいということはそれだけ、頻繁に塗り替えが必要になる場合も多くなるということです。また、屋根の外壁塗装にも向いていません。これは屋根に高い耐久性が求められることが理由の1つです。
また、塗料を出している大手メーカーも、屋根用のアクリル塗料は販売されていないことも無視できません。このようなことが、デメリットとして挙げられます。
アクリル塗料を依頼する外壁塗装業者選びは慎重に
外壁塗装業者を選ぶ際には、適切な塗料剤を提案しきちんと相談に乗ってくれる業者を選びましょう。外壁は風や雨、紫外線など、建物に負担をかける存在から守ってくれる存在です。その外壁のバリア機能を強化してくれるのが外壁塗装とも言えます。
ただ、新築時の外壁塗装は永遠に持つものではありません。だからこそ、定期的に外壁塗装をしなければならないのです。とにかく値段を抑えたいなら、アクリル塗装は十分に選択肢の1つになります。しかし耐久性の面、さらに長期的な視野を見ての外壁塗装なら、慎重に検討する必要があるのです。
まとめ
塗料には色々な種類があります。どの塗料を選ぶかは、施工主の判断となります。アクリル塗装はコストパフォーマンスや透湿性、カラーバリエーションが豊富などメリットはたくさんあります。
ただ、劣化しやすい、耐久性の面では他の塗料よりも低いなどのデメリットもあります。このような面も総合的に考え、外壁塗装の塗料を選びましょう。