外壁塗装業者に外壁塗装の見積もりを依頼した時、考えていた以上に費用がかかることを知って唖然とする人もいるかもしれません。中には自分でなんとかしようと思う人もいるはずです。
DIYなら業者に支払う作業費はかからないのでお得に思えるでしょう。しかし外壁塗装をDIYで行う時は問題点も多いことも知っておいてください。DIYで外壁塗装を行う時、押さえておきたい注意点を解説します。
外壁塗装をDIYでしない方がいい理由
インターネットなどではさまざまな分野でDIYの情報を得られます。本来なら専門業者にすべて丸投げしなければならなかった外壁塗装などの分野も、具体的なやり方や手順が紹介されています。しかし外壁塗装やメンテナンスについては、やり方が分かれば誰でも簡単にできるものではないのです。
はしごでのDIYは事故のリスクが高い
家の外壁塗装を行う場合、一軒まるごとか、一部分で良いか、1階だけ、2階だけなど作業対象はさまざまです。1階の一部分だけが対象なら簡単かもしれませんが、2階のような高所になると危険が伴います。2階の高さは5メートル以上になりますので、バランスを崩して落下をすれば大怪我だけでは済まないでしょう。
安全のため、本格的に足場を組むのも知識や技術や費用が必要です。自分ではしごや脚立で行う人もいますが、安定させるための処置をしなければ倒れて事故の原因となります。屋根の塗装の場合、一階建てでも高所となりますので危険です。
外壁塗装の経験はなくても高所作業の知識や経験者なら安全対策もできますが未経験者にはおすすめできません。また、5メートルを超える足場の組み立ては「足場組み立て等作業主任者」という資格が必要なことも覚えておいてください。
ホームセンターの塗料はあくまで「一般向け」
外壁塗装をDIYでしようとする場合、塗料も自ら用意しなければなりません。多くの人は手軽にそろえられるホームセンターへ行くでしょう。しかしホームセンターにある塗料は、プロが使っているものとは別物なのです。
例えば耐久性の高いシリコン系塗料でも、プロが業務で使っているものとホームセンターで使っているものとは違います。プロが使っている塗料を使用しなければ、性能の面で劣ってしまうことは容易に想像できます。
インターネットを利用して探せば、プロが使用しているものと同じ塗料が手に入ることもあるかもしれません。しかし同じ塗料だからと言っても塗り方が間違っていたり雑だったりすれば中途半端な結果になる可能性が高いのです。
例えば、色ムラや塗料の厚みの部分などで問題が生まれやすいのです。自分ではきちんと塗れたと思っても、実際はプロとの大きく違う場合も少なくありません。適切な塗り方をしなければ耐久性でも問題が出てきます。
DIYは手間がかかる割に長持ちしない
塗料を適切に塗ることができなければ、長期的な耐久性についても期待が持てません。塗ったばかりの時は達成感もあり安心できるかもしれませんが、プロに施工してもらった時より早く劣化が生じる場合が多いのです。DIYは手間がかかる割にそれほど長持ちしないのです。
再塗装になれば手間も費用もかかりすぎる
DIYの施工がうまくいかずにプロに依頼する場合は、本来の費用よりも余分にお金がかかります。これは余計な塗装を施してしまったことにより、その部分を剥がす施工が必要になるからです。
また、外壁塗装では下地処理もきちんと行わなければなりません。そうしなければせっかく塗装をしても、すぐに塗膜が剥がれるからです。そしてまた、やり直しとなれば、時間も費用もかなりかかってしまいます。
クラック(ひび割れ)の補修も大変
DIYで外壁塗装をする時、クラック(ひび割れ)などの補修も自分でしなければなりません。塗料の表面には塗膜があります。その塗膜が底まで割れていればクラックです。このクラックを甘く見て適当に外壁塗装をすると、またすぐに同じ状態が起きます。
補修をきちんと行わなければ、クラックが広がり建物自体に悪影響をもたらす可能性もあります。何度塗り直してもクラックが生まれて結局、プロに任せるしかなくなるのです。また、クラックも浅いものと深いものがあり、どの程度の傷みかプロでなければ分からないことも多いのです。
コーキングの補修も必要です
外壁塗装ではクラック以外にも、補修が欠かせない部分があります。それがコーキングです。コーキングは外壁の建材と建材にできる隙間を埋めるものです。サイディングなどで良く見られますが、水分やホコリなどが侵入するのを防ぐ以外にも、建材と建材の揺れによる負担を軽くするクッションのような役割を持っています。
コーキングのメンテナンスの目安は施工してから10年のため、一般的に外壁塗装と同時に行うことが多いのです。コーキングの補修は一見簡単にできそうですが、補修の方法やコーキング材によってはすぐに劣化が生じる可能性があります。高所でもコーキングの補修をしなければならないですが、中途半端に行うと建材が剥がれて落下する危険性もあるのです。このような点から。コーキングなども業者に任せた方が良いでしょう。
色ムラが生じやすい
上手に塗らなければ塗りムラができることも覚悟する必要があります。第三者としてはたから見れば簡単そうに見える塗装も、技術や経験がものを言います。少々なら許せる人もいるかもしれませんが、全体的に色ムラがひどければ後悔する羽目になります。
DIYは安いが結果的に余計な費用がかかるかも
プロに依頼せずにDIYで外壁塗装をするメリットは費用が安い点です。ただ、安いと言っても1万円程度では終わりません。塗料やローラー、刷毛といった外壁塗装に欠かせない道具をそろえる必要があります。安全性を考えるなら足場の代金もかかりますし安全帯やヘルメットなども必要です。
さらに、揃えなければならない塗料は1つだけではありません。下塗材、中塗材、上塗材など最低でも三種類は用意する必要があります。塗料も高品質で耐久性が高い種類のものなら高額になります。
DIYで外壁塗装をするなら約30万円~50万円が費用の相場で、プロに任せれば約90万円~120万円程度が相場です。しかし自分で行う場合、費用は安くなりますがリスクも大きいことは覚悟しなければなりません。
まとめ
趣味感覚で外壁塗装を行い失敗するのも、DIYの醍醐味と割り切れるなら問題はありません。しかし業者に任せるより費用が安いというだけで行うなら慎重に判断する必要があります。
外壁塗装は単純に塗料を塗るだけではなく、塗料の選別や道具の用意、劣化によるクラックやコーキングへの対処もしなければなりません。そのどれかが失敗するとまたやり直さなければならないのです。外壁塗装のDIYでは約30万~50万円が相場です。しかしやり直すことになれば、もっと費用がかかることも考えなければなりません。
プロに任せるとなれば、最初にかかった費用にプラスしてお金がかかってしまいます。結局、最初からプロに任せた方が良かったという結末になりやすいので、知識と経験があり、よほど自信がなければDIYで外壁塗装をするのは止めた方が無難なのです。