最近人気を集めているガルバリウム鋼板。新築された家を見てみると、外壁にガルバリウム鋼板を使用しているところもあるのが確認できると思います。一体何を理由にガルバリウム鋼板は注目を集めているのでしょうか。ガルバリウム鋼板の特徴から、外壁に使用するメリットとデメリット等、徹底解説します。

ガルバリウム鋼板を使用した外壁の特徴

外壁イメージ

ガルバリウム鋼板が流行りだしたのはここ5年から10年の話。今や新築された家にはほとんどガルバリウム鋼板が使用されています。一つは屋根、もう一つは外壁。今回見ていくのは外壁に使用するガルバリウム鋼板の特徴です。

防水・防火・耐風といった耐久性の他、外観デザイン、断熱性、遮音性、耐震性等、外壁は大きな役割を担っています。そういった様々な面から見て、ガルバリウム鋼板は外壁に適しているのか見ていきましょう。

鉄をベースにしてあるので耐久性に優れている

ガルバリウム鋼板というと余り馴染みのない言葉になりますが、中身はアルミニウムと亜鉛が大部分を占める金属板です。単純にアルミニウムと亜鉛を合金した鉄板ではなく、更に樹脂塗料が塗装してあるので、二重の防壁によって守られている形になります。

ただ、気になるのが錆び。金属系の板といえば茶色に錆びた姿をよく見かけます。古い倉庫や工場等は元の色が分からなくなる程に錆びつき、美観・耐久性共に好ましくありません。この点を克服するのに役立つのが亜鉛とアルミニウムの性質。亜鉛は犠牲防食という特徴を持ち錆びを防ぎます。鉄が腐食することで発生する錆びを、亜鉛は先に溶け出して表面を多い犠牲になって守るのです。

アルミニウムは不動態皮膜という特徴を持っています。不動態皮膜とは、金属の表面に酸化物の薄い皮膜を瞬時に作る現象です。一般的に鉄を主成分とする鋼板には耐食性の高い皮膜が出来ないため、錆びや欠損が発生しやすい環境となっています。この欠陥をアルミニウムが対応したことで、ガルバリウムの耐久性は非常に高くなったのです。

従来、鋼板としてよく使用されたトタンと比較すると、約3倍から6倍ほどの寿命が期待できると言われます。ただし、全く錆びないわけではなくメンテナンスフリーという訳でもないという点は覚えておいてください。

種類が豊富でお洒落

モルタル、タイル、ALC、RC、レンガ、漆喰、板張り、木質系サイディング、樹脂系サイディング、窯業系サイディング等、外壁自体の種類は豊富です。しかし、各々の中でバリエーション豊かなデザインを誇るものはそう多くありません。街中で見かけるのは外壁の種類の違いぐらいなもので、似たり寄ったりな風景が並ぶのはそうした理由が背景にあります。

しかし、ガルバリウム鋼板はとても種類が豊富で様々なものが用意されています。一目見ただけでは同じ種類とは思えない程デザインに凝ったものも見つかるでしょう。なお、種類はメーカーによりけりですので、その辺りも踏まえて外壁選びの材料にすると良いでしょう。ここでは東京都に本社を置く「旭トステム外装」の例を紹介します。10を超える種類が用意されているので、詳しくは公式ホームページを参照してください。まずは安価かつスタンダードな「スタッコ」。平米単価3,300円と財布に優しく、見た目もベージュ色の優しい暖色系が使用されています。グレー色が良ければ「T-ライン12」がおすすめです。レンガやタイル調がお好みでしたら「アンティークブリック」「デュオストーン」がピッタリです。高級感と耐久性の両方を取るのでしたら「ラ・ドゥーナスSX」「エトルタストーンSX」を検討してみてください。平米単価6,075円と値は張りますが、性能・デザインと共に見合ったものが提供されます。

ガルバリウム鋼板の施工方法

外壁イメージ

一見するとスマートなガルバリウム鋼板ですが、施工や取扱いの難易度が高いため、業者によっては推奨されないケースもあります。また、田舎の方ではガルバリウム鋼板自体を取り扱っていない業者も多いとか。
ここでは、大まかなガルバリウム鋼板の施工例を紹介します。防水シートの上に施工していくことになりますが、その前に通気用の胴縁を作ります。その際、外壁の上に取り付ける給湯器や窓枠なども用意します。ただ、ガルバリウム鋼板は表面の強度が弱いため、下地に補強材を施工しなければいけません。これが終わると、ようやくガルバリウム鋼板の外壁施工の始まりです。つなぎ目に注意してブロック毎に取り付けていきます。

外壁に使用するメリットとデメリット

外壁イメージ

ガルバリウム鋼板の特徴を紹介してきましたが、ここでメリット・デメリットについてまとめておきましょう。まず、メリットの方から。特徴の所で解説したように錆に強い点、耐久性に優れている点がメリットとして挙げられます。ガルバリウム鋼板が薄く着色性が高いため加工が容易であり、デザインが豊富な点も特徴です。熱反射率に優れ、耐熱性も高いことから、室内温度を適切に保ちやすいというメリットもあります。

逆にデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。最大のウィークポイントはコストです。まず、初期費用が他の外装材と比べて高めになっています。水や風といったものに対する耐久性は高くても、衝撃や傷には弱い一面を持っています。扱いがデリケートな上、施工方法も特殊なため、どうしても費用がかさんでしまうのです。そしてメンテナンスにも費用がかかります。汚れが付着しづらいという性質をもっており、塗装すらも定着が甘くなりがちです。定期的なメンテナンスの他にもケアが必要になる可能性がある事を覚えておきましょう。2つ目のデメリットとして、遮音性の低さがあげられます。鋼板自体の薄さから、振動を伝えやすい性質を持っており雨音が響きやすい特徴があります。防音対策を取る事が一般的ですが、その際費用が高くつくことを忘れずに。

メーカー別の種類

外壁イメージ

ガルバリウム鋼板の種類はメーカー毎に異なります。加工のしやすい性質を持っているので、耐久性やデザインなどを売りにしたものが多数存在しています。外壁をガルバリウム鋼板にする際はメーカー選びの段階からデザインや予算を決めておくことをおすすめします。

ニチハ

外装材、外壁の大手ニチハ。本社を名古屋に置き、支店営業所は全国各地に点在しています。ガルバリウム鋼板の種類も他社に比べると圧倒的に豊富ですので、ここならお目当てのものが見つかるでしょう。

  • iシリーズ
  • プレミアムシリーズ
  • t-colorシリーズ
  • モノカラーシリーズ
  • ベーシックシリーズ
  • 両面鋼板パネル

旭トステム

外装の専門メーカー旭トステム。セルフクリーニング機能や塗膜保証等、独自のサポートが充実しています。

  • スチール超深絞り
  • スチールニュースタンダード
  • アルミ深絞り
  • アルミスタンダード

ケイミュー

ガルバリウム鋼板に独自の塗装を施した「はる・一番」と、特殊な素材を使用した「スマートメタル」が売りのメーカーです。

  • はる・一番
  • スマートメタル

アイジー工業

金属製外装に特化したメーカーです。外壁だけでなく、屋根に関してもガルバリウム鋼板を使用したものを提供しています。

  • シンプルモダンシリーズ
  • ナチュラルシリーズ
  • ベーシックシリーズ

耐震性を求めるならおすすめ

業者

ガルバリウム鋼板は非常に薄く軽いため、他の外壁に比べると家の基礎部分への負担がほとんどありません。耐震性は軽ければ軽いほど優れることが一般的ですので、地震対策を考えている方はガルバリウム鋼板を検討してみると良いでしょう。一般的なイメージとしては重い建物ほど地震に強いと思われるかもしれんが、実は逆なのです。

まとめ

ガルバリウム鋼板について紹介しました。意匠性、耐久性が優れており、多くの新築の家で使用されています。多少他と比べるとコストはかかるものの、それを上回るメリットがあります。ただし、しっかりとした防音対策をとらないと雨音が響きますので注意。業者によってはメンテナンスがいらないと喧伝する所もあるようですが、他の外壁同様10年程度でケアは必要です。良い点、悪い点を抑えた上で、ガルバリウム鋼板を外壁に採用するかどうか検討すると良いでしょう。