外壁塗装は住宅のメンテナンスのために重要な作業です。ただ、外壁塗装を初めて行う人は、分からないことも多いでしょう。外壁塗装を検討する時、外壁に使われた建材や塗料の選択などの専門的な知識も必要になります。ここでは外壁のメンテナンスについて解説します。

外壁塗装で使われる塗料の耐久性について

外壁に塗る塗料は、すべて同じではありません。塗料によって耐用年数、つまり耐久性が違うのです。外壁塗装でメンテナンスを行ったのは良いけれど、短期間で劣化がはじまったらまた外壁塗装を行わなければなりません。できるだけ長持ちをさせるためには、塗料についてもある程度は理解しておかなければならないのです。

塗料の耐用年数は長いと費用も高くなる

長持ちさせるためには注意しなければならない耐用年数ですが、耐用年数を長くさせるにつれて費用が高くなります。一番耐用年数が低いと考えられているのは古いアクリル系塗料で、約4年~7年程度しか保ちません。ただ、新しい技術によって開発された耐用年数の長いピュアアクリルなどの塗料もあります。

塗料缶

一般的に耐用年数と費用のバランスがいいのはシリコン系塗料です。耐用年数は約8年~15年となります。ただし、今後はフッ素なども増える可能性があります。これは約15年~20年の耐用年数です。また、約15年~20年の耐用年数を誇るのが無機塗料やハイブリッド塗料も無視できません。

無機塗料はセラミックなどの無機物を主成分としています。紫外線に強いため、劣化しにくいという特徴があります。ハイブリッド塗料は無機と有機塗料の利点を併せ持った塗料です。費用は高いですが、今後、主流になる可能性がある塗料です。

外壁に使われた建材の耐久性もメンテナンス時期と関係ある?

外壁自体も長持ちする建材と、長く保たない素材があります。外壁の建材を知ることも塗料と同じくメンテナンスを行う時期の目安となるのです。

建材によって耐久性は違ってきます

一般的に耐用年数が一番短いものとしてモルタルがあります。砂とセメントと水を混ぜたもので、耐用年数は約30年です。耐用年数が一番長い外壁の建材はコンクリート壁となります。約80年~100年ほどの耐用年数があります。

住宅2

近年、主流となっているのは約40年の耐用性を持つサイディングボードです。窯業系、金属系、木質系、樹脂系などがあり、他にも生石灰やセメントなどに発泡剤を加えてコンクリートを軽量化させたALCボードもあります。ALCボードは約60年の耐用性です。メンテナンスフリーで知られるタイルは約40年の耐用性があります。

耐用年数に関係なくメンテナンスをしなければ劣化する

建材それぞれで耐用年数は変わります。しかしメンテナンスをしなければ長持ちはしません。例えばコンクリートは耐用年数だけ見ると一番長いですが、約15年~20年ごとにメンテナンスが必要です。

また、サイディングボードは窯業系、金属系などに分けられますが、それぞれメンテナンスの目安は異なります。窯業系は約7年~8年ごと、金属系は約10年~15年。木質系では約8年~12年、樹脂系では約10年~20年が目安です。また、モルタルは約8年~10年、ALCボードでも約10年~15年ごとにメンテナンスが必要です。

コーキング(シーリング)にも注意が必要です

メンテナンスが不要だとされているタイルでも、メンテナンスをしなくて良いわけではありません。耐用年数が過ぎるとタイル自体ではなくその他の部分に劣化が生じるからです。

コーキング

タイルに限らず、建材と建材の隙間を埋めるために、コーキング(シーキング)を使います。このコーキングにも耐用年数があるからです。コーキングの耐用年数は約5年~10年が目安です。このコーキングは外壁塗装と同時に打ち替えを行うのが一般的です。建材、塗料、コーキングのこと、すべて含めて考えると約10年ごとのメンテナンスをおすすめします。

劣化状態もメンテナンス時期の目安になります

メンテナンスの時期を見極める方法の1つに劣化状態があります。施工した時よりも明らかに変化や異常があるのでしたら、外壁塗装業者に相談することをおすすめします。

劣化を示す代表的な症状とは?

比較的、まだ軽くて余裕がある状況は変色です。外壁は紫外線や風雨による影響を毎日受け続けています。そうすると、表面に塗られた塗料の耐久性も減ってしまうのです。耐久性が減ったことを示す最初のサインが変色なのです。

古い家

次に起きることが多いのはチョーキング現象です。これは、耐久性がかなり無くなった状態です。塗料に含まれた顔料が劣化によって粉になる現象で、触れた手が白くなることで知られています。チョーキング現象が起きると、外壁だけではなく、内部が傷む可能性が高くなります。このチョーキングは、目安として約5年~6年に起きることが多いです。

チョーキング以降の劣化症状

チョーキングが起こりもっと耐久性が減ると今度はコケやカビなどが付き始めます。外壁に根が入れば建物自体の傷みが加速します。そして次にヒビ割れが現れます。クラックとも呼ばれますが、塗膜が割れることを筆頭に、建物自体にもヒビ割れが生じるのです。

かび

外壁塗装の目安となる施工後の約10年になると、塗膜が剥がれて落ちることも生じます。また、コーキングも劣化していることが多く、建材が2階から落ちてくる危険性も高まります。早めに外壁塗装を行った方が良い状況です。

耐用年数は建物がある環境にも左右される

建材や塗料やコーキングのメンテナンス時期はあくまで目安でしかありません。例えば雨や雪、潮風が当たる、日差しが特に強い地域、湿度などの環境要因に大きく影響されます。そのため外壁や塗料の耐用年数よりも早く劣化が生まれることも珍しくありません。

まとめ

劣化を示す症状や目安を紹介しましたが、あくまで一例にしか過ぎません。外壁塗装が本当に必要か不要か確実に見極めるためには、信頼できる外壁塗装業者などに確認をしてもらうことが大切です。

また、外壁塗装のための道具はホームセンターでも手に入ります。しかし知識や経験が不足している場合、DIYで行ったとしてもすぐに劣化が起きる可能性もゼロではありません。確実なメンテナンスはやはりプロに任せた方が無難です。