外壁塗装に用いる塗料の中には親水性という性質を持つものがあります。親水性を持つ塗料には主に外壁のメンテナンスに関して大きな利点があるので、その特徴を把握しておくことの意味は大きいです。

塗装を施す外壁の状況に合った製品を選ぶためにも親水性に優れた塗料への理解を深めておきましょう。この記事では親水性を持つ塗料のメリット・デメリットについてチェックしていきます。

塗料の親水性とは

塗料の親水性とは、水に馴染みやすく濡れやすい性質を指す言葉です。親水性を持つ塗膜に水が付着すると、全体に薄い水の膜を作ります。付着した水を弾いて水玉状にする撥水性と対になる性質です。

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親水性は合成樹脂の種類に依存しない

塗料の親水性は使われている合成樹脂の種類によって決まるものではありません。ウレタン塗料やシリコン塗料、フッ素塗料などさまざまな種類の塗料に親水性の高い製品が存在します

また、通常の塗料の上からコーティング塗料を塗装して、親水性を付加することも可能です。そのため、親水性以外の機能性は比較的自由に選びやすくなっています。

親水性が持続する期間

塗料の親水性が持続する期間はどれくらいの長さなのでしょうか?具体的な期間は塗装を行う外壁のさらされる状況によって異なりますが、基本的に塗料自体の耐用年数と同じと考えておけば大丈夫です。

塗料が親水性を発揮できない状態になっている場合、他の機能性もほとんど失われている可能性が高いので、外壁の塗り替えが必要になります。塗料に使われている合成樹脂の種類によって耐用年数は大きく変わるので、親水性を長く持続させたいならフッ素塗料や無機塗料のように耐久性の高い塗料を選ぶことが大切です。

外壁が湿気る可能性はあるのか?

親水性を持つ塗料は水に濡れやすいですが、外壁が湿気る可能性はあるのでしょうか?湿気のせいで外壁内部にカビが生じるなどの問題が発生しないか、気になっている方もいるはずです。しかし、塗料の親水性はあくまでも表面の塗膜が持つ性質なので問題ありません。

防水性のある製品であれば、親水性が高いからといって建物の内部に水が入りやすくなるということはないので安心してください。また、防カビ機能を持つ塗料を使えば、塗膜に関してもカビの心配をする必要はなくなります。

親水性を持つ塗料のメリット

外壁塗装に親水性を持つ塗料を使うことには以下のようなメリットがあります。

汚れを洗い流すセルフクリーニング機能を持つ

汚れを自身の力で洗い流すセルフクリーニング機能を持つ点が、親水性に優れた塗料の大きなメリットです。親水性を持つ塗料は水と馴染みやすいため、雨水が外壁の汚れの下に潜り込むように密着します。すると汚れが雨水によって浮き上がり、そのまま洗い流されていくのです。

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メンテナンスの手間が省ける

何もしなくても雨水によって自然と汚れが落ちていくので、メンテナンスの手間が省けます。外壁の洗浄作業を行う回数を減らせる点は親水性に優れた塗料の大きなメリットです。こまめな洗浄を面倒くさく感じるのであれば、外壁塗装に使う意味は大きくなります。

塗膜の劣化を防ぎやすい

外壁に汚れが付着したままの状態が続くと、塗膜の劣化の原因となることがあります。親水性を持つ塗料は雨水によって付着した汚れが落ちやすいので、塗膜の劣化も防ぎやすいです。塗膜の劣化は外壁や家の内部の劣化にもつながりますから、重要なメリットとなります。

撥水性を持つ塗料よりも汚れにくい

親水性を持つ塗料は撥水性を持つ塗料よりも汚れにくいです。一見すると水を弾く撥水性に優れた塗料の方が汚れに強そうに思えますが、油汚れを落とす力は親水性を持つ塗料に劣ります。雨水の汚れには強いですが油汚れが残ると結局雨だれの跡が付いてしまうので、汚染対策には親水性を持つ塗料が最適です。

親水性を持つ塗料のデメリット

親水性を持つ塗料のデメリットは以下の通りです。デメリットという言い方をしていますが、メリットに関する注意点が中心となっています。

雨が降らないとセルフクリーニング機能が発揮されない

親水性によるセルフクリーニング機能は、水が塗膜に付着して初めて効果を発揮します。そのため、雨が降らないと汚れを洗い流すことができません。晴れが続く天気模様だと汚れが目立ってしまう可能性がある点に注意が必要です。

感想

晴れの日でもセルフクリーニング機能を発揮させたいなら、雨水によるセルフクリーニング機能だけでなく、太陽光と化学反応を起こして汚れを分解することもできる光触媒塗料を選ぶ必要があります。ただし、雨が降らない場合には自分自身で外壁へ水をかけて洗うつもりがあるのなら、特に問題ないデメリットです。

絶対に汚れないというわけではない

親水性に優れた塗料は汚れにくい性質を持ちますが、絶対に汚れないというわけではありません。セルフクリーニング機能で洗い流せない汚れも存在します。場合によっては本格的な洗浄作業が必要になることを理解しておきましょう。

親水性が発揮されるまで時間がかかることもある

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外壁塗装に使う塗料の種類によっては、完全に硬化するまで親水性が十分に発揮されないこともあります。親水性が発揮されるまでは汚れが付きやすくなるので、塗装直後は外壁の外観に注意が必要です。

酸性雨に弱い

親水性を持つ塗料は外壁全体に水の膜が広がるため、塗装面の成分を分解する酸性雨に弱くなる点がデメリットです。ただし、耐酸性・耐薬品性を持つ塗料を使う場合はこの限りではありません。

親水性に優れている代表的な塗料まとめ

親水性に優れている塗料としては、以下のような製品が挙げられます。

SKセラミックファイントップ(エスケー化研)

SKセラミックファイントップはナノサイズのセラミック粒子によって超親水性を実現している塗料です。色のないクリアータイプではありますが、塗り残しを防ぐために初期段階では薄紅色が着いています。

上塗りを省略する悪質な業者を見抜くためにも役立つ特徴です。薄紅色は数日経過すると消えるので、外壁の美観には影響を与えません。

クリスタコート(日本ペイント)

クリスタコートは独自の無機技術を採用した超親水性のコーティング塗料です。塗料が乾いた直後から親水性を発揮してくれるので、非常に汚れにくい塗料となっています。水性・油性どちらの塗膜の上からでも塗装できるので、幅広い塗料に親水性を付け加えることが可能です。

セラテクトF(関西ペイント)

セラテクトFは親水性に秀でた特徴を持つフッ素系塗料です。従来のフッ素系塗料と比べて汚れに強く、長期間綺麗な状態を維持できます。耐候性も優れているので、光沢感や塗料の色も失われにくいです。

親水性を活かすにはしっかりとした塗装が必要

塗料の親水性を十分に活かすにはしっかりとした塗装が必要です。いくらセルフクリーニング機能によって汚れにくいと言っても、塗装の不備のせいで剥がれやすい状態になってしまっては意味がありません。そのため、技術力の高い優良業者に外壁塗装を依頼する必要があります。

複数の見積書を比較して優良業者を見極める

高品質

親水性を持つ塗料での外壁塗装を業者に依頼する場合、複数の見積もりをとるようにしましょう。複数の見積書を比較することで優良業者を見極めやすくなります。施工費用が安い業者を選びやすくなりますが、あまりに安い場合には詐欺的な手法を用いる悪徳業者の可能性があるので注意してください。

まとめ

塗料の親水性についての情報とメリット・デメリットについて解説しました。親水性の高い塗料はメンテナンスの手間がかからないので、手軽に綺麗な外壁をキープしたい人におすすめです。