タイルは劣化しない素材と言われています。そのため外壁に使っている場合、塗装は不要という話もありますが本当なのでしょうか?モルタルやサイディングボードは劣化するため、定期的な外壁塗装によるメンテナンスが必要です。
一方のタイルは無機質なために外壁塗装は必要ありません。ただし、外壁のタイル以外の部分はメンテナンスが必要なのはご存知でしたか?その理由や価格を解説します。
タイルの塗装以外に必要なメンテナンス
タイルを使用した場合の外壁に関して塗装は必要がなくても、あまりに汚れて劣化してしまっているとメンテナンスが必要です。劣化の例としては、タイルが落下している、剥がれているケースが挙げられます。
これはタイルとタイルの隙間部分である、目地部分に問題が発生しているなどの理由が考えられます。問題が発生する理由は複数あり、施工に問題がある場合や、経年劣化、車などが激しくぶつかったことなどが挙げられます。
タイルは初期費用が高い
外壁にタイルを使う場合、初期費用が高くなってしまうことは覚えておきましょう。一般的に採用されているタイルでも、一つの物件にかかる相場は300万円程度となっています。
外壁に使用される他の建築材料には、サイディングやモルタルがあります。サイディングで主流となっている窯業系の価格相場では150万円程度です。モルタルの価格相場も、サイティングと同程度と考えておけば良いでしょう。比べてみると、一般的な外壁よりもタイルの方が2倍程度の費用が必要になるのです。
外壁タイルのメンテナンスと価格
コーキングと呼ばれる外壁タイルの目地は経年で劣化してしまいます。しかし、コーキングの部分をきちんとメンテナンスを行えばタイルを長持ちさせることができます。そのメンテナンスの時期の目安は一般的に10年です。10年は外壁塗装の目安と同じですので、同時期に行うのも良いでしょう。
価格については、コーキング部分のメンテナンスだけの場合だと約50万程度です。ただし、家が大きくなれば50万円以上かかる可能性もあります。また、タイル外壁以外のひび割れや外壁塗装のメンテナンスも含めて考えると、約100~150万円程度の価格になることもあります。
コーキングは増し打ちと打ち換えで価格が違います
外壁タイルのコーキングのメンテナンスを行う場合、どんな工事をするかによっても価格が異なってきます。
例えばすでにあるコーキングの上に新しいコーキングを充填する「増し打ち」という方法と、古いコーキングをすべて取り除いて新しくコーキングをやり直す「打ち替え」という方法があります。どちらがより価格が高くなるかと言うと、大量のコーキング剤が必要な打ち替えの方です。
増し打ちでは約500〜700円/m、打ち替えだと約900〜1,200円/mが相場です。ただし、打ち替えの場合は古いコーキングを撤去する費用も必要になりますので注意が必要です。コーキング撤去費用は約400〜500円/mが相場です。
外壁の汚れを落とす高圧洗浄の価格
外壁のメンテナンスを行う場合、高圧洗浄なども必要です。外壁は時間の経過と共に雨や風などにさらされ、天気の良い日は紫外線が当たります。その中で多くの汚れがついてしまうのは必然と言えるでしょう。それ以外にも外壁にはコケや、カビがついてしまっていることは珍しくありません。こういった汚れを洗い流すために、高圧洗浄は欠かせない工程なのです。
タイル以外のモルタルやサイディングのような建築材料では、劣化をするとチョーキングという現象が出て来ます。チョーキングとは塗料が劣化したことにより起きる現象で、触れると手が白くなるというものです。このような問題を無視して高圧洗浄を行うことは、初期不良の原因の1つになるので注意しましょう。
足場や養生にも費用がかかる
高圧洗浄のみを行うのでしたら、2~5万円程度が相場です。ただし建物によっては足場を組む必要も出て来ますし、隣家に水を散らせないための養生も行わなければなりません。これらにも当然費用は必要となり、特に足場代は施工にかかる費用の大部分を占めることになります。
また、高圧洗浄を行う場合、水道代のことも考える必要があります。高圧洗浄を行う際、施主の家の水道を使うことが多いためにその価格も含めて考えた方が良いでしょう。
特殊な洗浄剤を使うと価格が高くなります
タイル洗浄を行う場合、洗浄剤を使用する業者も存在します。一般的に使われる洗浄剤は希塩酸です。希塩酸を塗ることで強い洗浄力が期待できるため、ひどい汚れも解消することが期待できます。
しかしこの希塩酸という洗浄剤はどんなタイルにも対応しているわけではありません。希塩酸に対応していないタイルの場合、変色や変質が発生してしまう可能性もあります。他にも金属などにつくとサビの発生原因の1つとなります。
外壁のメンテナンスをする外壁塗装業者ときちんと相談することが大切です。希塩酸ではない特殊な洗浄剤を使用したメンテナンスの価格相場は約5~8万円です。もちろん足場や養生が必要なら価格もアップするので注意しましょう。
コケやカビに強いバイオ洗浄という方法も
外壁のタイルにコケやカビなどがつく場合もあります。特に建物が建っている環境次第では、ひどい状態になっていることもあります。コケやカビがひどい状態では、バイオ洗浄という方法も検討するといいでしょう。
バイオ洗浄は特殊な洗剤によってカビやコケを除去していく洗浄方法です。ただし高圧洗浄よりも手間がかかり、洗剤も使用しなければならないので価格は高めになっています。
初期費用を考えると高いが総合的にはコスパが良い
タイル外壁は初期費用が高額ですがメンテナンスの条件はシビアではありません。そのため短期間では価格が高く感じられるかもしれませんが、総合的には安くなるのが魅力です。また、長持ちという部分でもメリットはあります。
ただし長持ちすると言っても、まったくメンテナンスが不要ということではありません。外壁を選ぶ時は短期的な視点と長期的な視点を持って考えることが大切です。そうすることで失敗を回避する可能性が高くなります。
まとめ
タイルには、耐久性が高く無機質なために劣化しにくいという大きなメリットがあります。また、モルタルやサイディングボードのようにメンテナンスを頻繁に行う必要はありません。その分、どうしても初期費用が高いというデメリットはあります。
また、メンテナンスをしなくて良いと言っても何十年も経過すればタイル外壁の目地部分やひび割れや崩落が生じている場合もあります。そのような時は、外壁塗装も含めてメンテナンスを検討してみてはいかがでしょうか。そうすることでいつまでも安心できるタイルの外壁を維持することが期待できます。