ウレタン塗料はかつて外壁塗装でよく用いられる塗料でした。現在はより耐久性に優れたシリコン塗料が主流となっているため、以前よりも外壁塗装に使われる機会は少なくなっています。しかし、外壁の状況によってはウレタン塗料の方が適している場合もあるため、塗料としての特徴を把握しておくことに意味がないわけではありません。
それでは、ウレタン塗料の特徴や外壁塗装を行う場合のメリット・デメリットについてチェックしていきましょう。
ウレタン塗料とは
ウレタン塗料とは、合成樹脂としてポリウレタンやアクリルウレタンなどのウレタン系樹脂を使った塗料のことです。水性1液型・油性1液型・油性2液型などさまざまなタイプのウレタン塗料が販売されています。製品として取り扱っている塗料メーカーの数も多いです。
製品の選択肢が多い塗料
ウレタン塗料は昔から販売されている塗料ということもあり、製品の選択肢が多いです。タイプの違いで製品を選べるだけでなく、塗料の色のラインナップも豊富に用意されています。
また、それぞれに機能性が異なるため、外壁塗装に必要となる条件に合った製品を選びやすいです。例えば、鉄の部分に塗装する際には防サビ性を持つウレタン塗料を使うことで劣化を防ぎやすくなります。
塗装できる下地の種類が多い
ウレタン塗料はコンクリートやモルタルだけでなく、金属部分などの塗装にも使用できます。製品によっては木製の外壁に使うことも可能です。また、ウレタン塗料で外壁塗装を行う場合、外壁だけでなくプラスチック製の雨どいや雨戸なども同時に塗装することができます。
ウレタン塗料のメリット
外壁塗装にウレタン塗料を使うことのメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
ひび割れしにくい
ウレタン塗料に用いられるウレタン系樹脂は塗装面への密着性が高く柔軟性もあるので、ひび割れが起こりにくいです。高弾性のウレタン塗料は、特にひび割れしにくい塗料となっています。
そのため、モルタルなどのひび割れしやすい外壁の塗装に適した塗料です。振動の多い道路沿いの立地や地震の多い地域など、ひび割れする要因のある場所での外壁塗装にも適しています。
艶のある仕上がりにできる
ウレタン塗料は塗装後の光沢感が強い塗料なので、外壁を艶のある仕上がりにできます。ピカピカと光り輝く見た目にできるので、外壁の外観を高級感のあるものにしたい場合に適した塗料です。木製の部分に光沢感を与えることができる点もメリットです。
塗料の価格が安い
販売されている塗料の価格がシリコン塗料やフッ素塗料より安い点もウレタン塗料のメリットです。コストパフォーマンスを考慮に入れると割高になる場合も多いですが、一度にかかる費用が少なくて済むことは大きな利点となります。
また、既に述べたように塗装可能な下地の種類が多いので、複数の素材を組み合わせた外壁でも1種類の塗料で対応可能です。そのため、塗料を無駄にすることが少なくなり、費用の節約につながります。
メンテナンス作業が楽になる
ウレタン塗料は塗装した外壁が傷つきにくいため、メンテナンス作業が楽になります。次回以降の塗り替えの際の手間を減らせることは十分なメリットです。
ウレタン塗料のデメリット
外壁塗装にウレタン塗料を使う場合、以下のようなデメリットに注意する必要があります。
耐用年数が短い
ウレタン塗料は、耐用年数が最長でも10年程度と比較的短めである点がデメリットです。アクリル塗料よりは寿命が長いのですが、シリコン塗料やフッ素塗料と比べると塗り替えの頻度はどうしても高くなります。
そのため、外壁をメンテナンスする回数を減らしたい場合には適しません。逆に外壁をこまめに塗り替えて使う塗料の色を変えたいという人にとっては、耐用年数が短いことがデメリットではなくメリットになる場合もあります。
紫外線に弱い
太陽光に含まれる紫外線に弱いこともウレタン塗料のデメリットの1つです。他の塗料と比べると紫外線が当たることによる変色が起こりやすく、外壁の美観が損なわれる可能性があります。
変色が始まるまでの期間は紫外線の当たる量や気温などによって差が出てくるため、日光がよく当たる外壁を塗装する際はウレタン塗料の使用を避けた方が無難です。
光沢感が失われやすい
ウレタン塗料は光沢感を出しやすい塗料ですが、その光沢感が失われるスピードは速いです。最初のうちは光沢感のある外壁に見えても、時間が経過すると艶がなくなってしまいます。
ただし、塗装した直後は光沢感のある高級な雰囲気を、時間が経った後は艶なしの落ち着いた雰囲気を楽しめるという捉え方をするのであれば、逆にメリットと考えることも可能です。
汚れが付着しやすい
ウレタン塗料は他の塗料と比べて汚れが付着しやすいです。そのまま放置しておくと外壁が汚い印象となってしまうため、定期的な洗浄が必要なケースが多くなります。製品によっては汚れに強い機能を備えたものもあるので、外壁の汚れを気にするなら低汚染性のウレタン塗料を使うのがおすすめです。
艶消しタイプがない場合もある
ウレタン塗料は光沢感の強い塗料なので、塗料メーカーの製品ラインナップに艶消しタイプや3分艶タイプがないことも多いです。つまり、外壁の艶を抑えて落ち着いた雰囲気を出したい場合にはあまり適しません。
艶消しタイプが取り扱われている場合でも色などに制限があることが多いので、最初から光沢感を出したくないのであれば他の種類の塗料を選ぶことをおすすめします。
塗装時は水と結合しやすい
ウレタン塗料に含まれる硬化剤は、水と結合しやすい性質を持つことが多いです。そのため、雨の日や湿度が高い日に作業を行うと塗料の性能が十分に発揮されない場合があります。ただし、他の塗料でも雨の日の塗装は避けるケースが多いので、ウレタン塗料ならではの重大なデメリットというほどではありません。
代表的なウレタン塗料まとめ
国内の塗料メーカーが販売している代表的なウレタン塗料には、以下のような製品があります。
クリーンマイルドウレタン(エスケー化研)
クリーンマイルドウレタンはセラミック成分が配合されたウレタン塗料です。一般的なウレタン塗料と違い、超低汚染性を持っているので外壁を綺麗なまま維持したい場合に適しています。
水性ファインウレタンU100(日本ペイント)
水性ファインウレタンU100は1液型の水性ウレタン塗料です。水性タイプの塗料なので塗装作業がしやすく、環境にも配慮した塗料となっています。淡彩色だけではありますが、艶消しタイプの製品もあることが特徴です。
アレスアクアレタン(関西ペイント)
アレスアクアレタンは1液型の水性ウレタン塗料です。伸縮率が高く、ヒビ割れへの追従性に優れています。
ウレタン塗料の塗装は信頼できる業者に依頼しよう
ウレタン塗料は比較的取り扱いやすい塗料ではありますが、塗装の際に職人の技術力が必要ないというわけではありません。特に2液型のウレタン塗料を使う場合、主材と硬化剤を混ぜる際の割合を気温や湿度を考慮に入れてしっかりと計算する必要があります。
そのため、外壁塗装業者に依頼する際は、ウレタン塗料を使った施工実績についても調べておくことがおすすめです。1社だけにこだわらず複数の業者で見積もりをとって、信頼できる業者選びの判断材料を増やしましょう。
まとめ
ウレタン塗料の特徴やメリット・デメリットについて紹介しました。外壁塗装におけるメジャーな塗料ではなくなったものの、適切な状況ならまだまだ活用できる塗料です。特徴をしっかりと把握して、塗料選びの参考にしてみてください。